いのちを育てる

                       園長  原 田 京 子

 

 クラスで飼育しているカブトムシも次々と立派な成虫になり、子どもたちを喜ばせています。薄いクリーム色の小さな、まぁるい卵が、いつのまにか、幼虫になり、腐葉土の中で、周りの土を食べてどんどん育ち、大きくなっていきました。飼育ケースの土替えをする時に、手のひらにのせて、大きさを実感する子どもたち。のせてみたいけど、まだ、ちょっと怖くて、見てるだけという人もいました。「触ってみる?」と声をかけられ、恐る恐る伸ばした手のひらにのせてもらうと、幼虫の『もにょもにょ』した感触に思わず手を引っ込めてしまったり…。そうこうしているうちに、さなぎになって動かなくなり、「その時」を待ちます。ある朝、「その時」が来て、立派な成虫になって土の中から出てきているのを見つけると、驚きと喜びで歓声が上がります。図鑑で見るカブトムシとそっくりの姿、形。本来は夜行性なので、朝はゆっくり休みたいところですが、カブトムシも時には、サービスで、子どもたちに付き合ってくれたりします。

どのクラスも、カブトムシのお世話を頑張っていました。カブトムシ当番を作り、順番にお世話をしていました。「ここをもつんだよ~」と、経験豊富な年長さんが得意そうに「ツノ」をつまんで持ちあげ、飼育ケースの周りに集まったお友達に見せる場面も。かつて持てなかった時があったことなんか、もう忘れてしまっているのでしょうね。得意そうにカブトムシを持ち上げる年長さんは、カッコイイ「ヒーロー」のように小さい人たちの目に映っていることでしょう。今は、持てなくても、いつかは「ここをこうやってね…」と、自信満々で教える側になっている姿を想像すると、とても微笑ましくて、今から楽しみです。

 クラスでは、いろんな小さな生き物と一緒に過ごしています。どんなに小さくても、いのちがあって生きているということを、私たちは飼育を通して子どもたちに伝えています。大好きな虫探しも、見つけて、かごに入れてそれっきりではなく、しばらく観察したら見つけたところに返そうねと約束しています。小さな虫たちも、私たちと同じように神さまに生かされて、護られていることを知り、いのちの大切さを一緒に考えられるようにみんなで話し合います。7月の司祭様のめばえにあったように、いのちを大切にし、お互いに思いやりを持って歩んでいけますようにと祈っています。

27日からは約1ヶ月間の夏休みが始まります。どうぞお元気にお過ごしください。